あまくてにがくて青い21

 今日何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。ドキドキする胸を抑えながら、私はホテルの前に立っていた。

 7時55分。待ち合わせまでの五分間で、過去の記憶を呼び覚ます。最後に彼と会った日のことを。

〜2015 Spring〜

 最後の春高のあと、影山くんの部屋で抱き合ってから、私たちは会わなくなった。学校は自由登校期間に入り、彼は大学生やプロチームとの練習に混じったりトレーニングをしたりと忙しそうだった。

 元々少なかったメッセージのやりとりは、更に減っていった。いずれ離れると思うと連絡を増やすのが怖かったし、離れがたくなると思った。

 彼がどう思っていたのかは分からない。新しい日々への対応で、いっぱいいっぱいだったのかもしれない。私よりも少しだけ早く、影山くんは新しい生活をスタートしていたのだから。

 二月に入ると、私は別れを確信するようになっていた。連絡が少なくなったことと、会わなくなったことは、その確信をより強固なものにした。私は何かをごまかすように、アルバイトのシフトを増やして毎日忙しく過ごした。そうすれば、彼のことを考えていられないと思ったのだ。

 そうしてバタバタと過ごしているうちに、いつの間にか卒業式の日が訪れていた。

 卒業の日は旅立ちにふさわしい快晴で、空は春のそれに近づいていた。東北の三月はまだ寒い。東京はどうなんだろう、と彼が向かう街のことを思った。でもそんなことを考えていても仕方がないなと、頭の中の思考を押し込める。まだつぼみにもなっていない桜の枝を見て、恋を知る前の私に戻ろうと、そんな決意を胸に抱いた。つぼみにすらなる前の、彼を知らなかった頃の私。会わなくなればきっと、その頃に戻れるはずだから。

「ちょっと話、いいかな……?」

 それぞれ部活の追い出し会を済ませ、友達と写真を撮り合って、高校最後の時間をいっぱい笑って過ごした。全部を終わらせる決意を固めて、私は勇気を振り絞った。

 みんなが名残惜しみながらも散り散りになって、帰っていった頃。私はいつもの自転車置き場に影山くんを呼び出した。彼は「俺も話そうと思ってた」と言った。吹く風は冷たかったけれど、春の匂いがした。三年前、きみの存在を知った季節の匂いだ。

 最初に自転車置き場を訪れた時とは違って、手は繋がなかった。今日は自転車で来なかったから、錆びたママチャリもここにはない。数台の自転車がとまるこの場所で、影山くんは黙って私の顔を見つめていた。

 錆びた自転車は、いつも季節の匂いを連れてくる。けれどももう、二人乗りをすることもない。今日は自転車はないけれど季節の匂いがして、ああ、きみが新しい季節を連れてきてくれてたんだなと、働かない頭でそんなことを考えた。

 

 私の方から、口を開く。泣かないようにするので精一杯だった。声は震えていたと思う。増やさないようにつとめていた思い出たちが、頭の中をかけ巡っていった。

 きみと出逢った春、花火を見た夏、写真を撮った秋、それから『苗字さんのこと、拐いたい』と言ってくれた冬のこと。鮮やかに染まった季節たちが、今、完全に思い出になる。

「もう、お別れなのかな?」

 過去一番の大きな質問に、影山くんが答える。

「……そっすね」

「じゃ、ちゃんと別れよう?」

 最後に握手、ね?

 そう言って握ったきみの手は思ったよりも大きくて、冷たかった。影山くんの心があったかいことも、自分の気持ちに真っ直ぐなことも、私は知っている。こんなにも真っ直ぐなきみが、さよならを選ぶのなら……、そういうことだ。つまり、それが正解なんだろう。

「バイバイ」

 最後は精一杯笑って、さよならの言葉を告げた。彼に背を向けて、コンクリートの上を何歩か進んでから、空を見上げて思いきり泣いた。影山くんに届かないように。

 三月の晴れた空は、涙で滲んでよく見えなかった。

妊娠したと嘘をついてみたら(佐久早)

 世の中には嘘をついていい日が存在するらしいと、そのくらいの知識は私にもあった。けれどもその知識が彼にもあるものだとは、到底思えなかった。だって彼は、冗談で笑いをとるような性格 じゃないのだから。
 だからこそ、私は嘘をつくことを決めた。彼ならきっと嘘だとは気がつかない。私たちのこの微妙な関係に終止符を打つのか、逆に改善されるのか。賭けてみるしかなかった。

 聖臣くんと付き合いはじめて二年が経つ。彼は淡白な方だとは思うけれど、それでも私を甘やかしてくれるし、私だけは特別だと信じていた。けれども倦怠期というものは訪れるもので、今がまさにそれだ。元々そっけない彼が、最近さらにそっけないような気がする。近ごろの私は、彼が本当に自分のことが好きなのか疑うようになっていた。
 窓の外に舞う桜の花びらを見て、ふう、と溜息をつく。ダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいる聖臣くんの方をちらりと見て、「あのね」と第一声を発した。
 どきどきした。どういう返事をされるのか、怖くてしょうがなかった。けれども私は嘘をつく。この行き場のない不安を、打ち消すために。
「何」
「あの、えっと……」
「……」
 コーヒーを飲む彼の喉仏が、こくりと揺れる。じっと見つめられたので目をそらして、言葉を吐き出した。
「に、に、……妊娠したみたい」
 カレンダーの日付は四月一日。前の生理からちょうどひと月経つ頃なので、巧妙すぎる嘘だ。彼は本当に私との将来を考えてくれているのだろうか。ちゃんと好きでいてくれているのだろうか。ドキドキしながら顔を上げると、表情を変えずに無言で私を見つめている聖臣くんと目が合った。彼は何も言わない。
 沈黙がその場を支配する。私のことなんてもう好きじゃないのかもな、なんて、頭の半分を埋めていた『不安』が、大きく強く広がっていく。沈黙を打ち消したのは彼の言葉でも私の言葉でもなく、自分の目から流れる涙だった。
 ぐすっ、と鼻をすする音が、先程まで静かだった空間を包んでいく。もうやだ、逃げたい。こんな嘘までついてばかみたい。
 彼の声が聞こえたのは、その時だった。
「何で泣いてんの」
「ごっ、ごめんなさ…っ…」
 ああ、もう、振られるの確定だな。そう思った次の瞬間、立ち上がった聖臣くんが私の方に向かってくるのが分かった。いやだ。振られたくない。そう思った次の瞬間、温もりが私の身体を包んだ。抱きしめられている、と意識する前に唇に降ってくる熱。
「ごめん」
 そう囁かれて、もう一度強くキスをされた。
 あれ? 私振られるんじゃないの? なんでキスされているの?
 今の状況が飲み込めなくて、キスに上手く応えることも出来ない。
「嘘つかせるほど不安にさせてごめん」
「!?」
「もう分かるでしょ」
 さらに強くぎゅっと抱きしめられて、またキスを繰り返される。あー、聖臣くん。嘘だって分かってたんだなぁ。聖臣くんの方が、私のこと理解しているみたいだ。
「言わないと分かんない」
 ねだるように目線を上げて彼の方を見たら、照れくさそうな顔で約束の言葉を囁かれた。私の姓が変わるのは、その少し後のお話。

治にお弁当を作る

 女として生まれたからと言って、料理が得意なわけではない。下手なわけでもないけれど、出来れば人には食べさせたくないと思うレベル。母や友人には『普通においしいよ?』と言われるけれど、私はそうは思っていない。だって私の彼は、食のプロなのだから。

 だからこそ、今聞こえた言葉を疑う他なかった。

「せやなぁ、一回でええから弁当作ってほしいなぁ」

 もう一度、同じ言葉が降ってくる。定休日デートの帰り、ぽかぽかとあたたかい春の夜道が、一瞬にして真冬に戻ったかと思った。一体、何の冗談を聞かされているのだろう。

 ひきつった顔をしているであろう私と対照的に、隣を歩く治くんは満面の笑みをこぼしている。

 治くん手作りの逆チョコを貰ったのが、一ヶ月前のバレンタインデーのこと。ホワイトデーのお返しは何がいいかな? と聞いたところ、まさかの言葉を頂戴してしまったのだ。返事をする声も、つい震えてしまう。

「えっ? 私、料理得意じゃないよ?」

「名前ちゃんの作る料理、食うたことあらへんもん」

「だって治くんの作る料理の方が絶対おいしいじゃん」

「……せやなぁ、ご飯はおにぎりがええな」

 そこは否定しないんだ、と思いつつも、そのあとに続いた言葉に声が出なくなる。おにぎりがいい。今、そう聞こえたのだろうか。おにぎり。……おにぎり。おにぎりこそ、彼の一番得意な料理だというのに。

「えっ、ごめん! 聞こえなかった」

「おにぎり! おにぎりがええ!」

「……せいぜい塩むすびだよ?」

「ええん!? 楽しみやわ」 

「本当期待しないでね! 下手だから!」

「むっちゃ期待しとる」

 治くんはそう言って立ち止まると、ひとつキスを落として帰っていった。はらりと春の花が舞い落ちて、地面にぺとりと張りつく。生ぬるい風が、去っていく彼の髪を揺らした。

 あー、これ、ガチで期待されてるのだ。どうしよ、本当。スキップしながら夜道を行く治くんの背中を、ただ見つめることしか出来なかった。

『おにぎり 作り方 おいしい』

『お弁当 おかず 簡単』

『おにぎり ラッピング おしゃれ』

 期待しないでねと言ったけれど、それなりに見た目や味を気にはするもので。スマホの検索履歴は、見事にそういうキーワードだらけになっていた。毎日のように試作を重ね、なんとか人に出せるレベルのものは作れるようになった。まあ、相手がおにぎり屋の店主となれば話は別なんだけれど。

 そうして迎えた当日、私は開店前の『おにぎり宮』を訪れていた。仕事は有給を取って、朝から三回作り直しただなんてとても言えやしない。

「本当に期待しないでね」

「名前ちゃんの手作り弁当や! 開けてもええ!?」

「……どーぞ」

 普段私が使っているお弁当箱と、100円ショップグッズで包装されたおにぎり。治くんはお弁当箱をぱかりと開けると、最上級の笑顔で口を開いた。

「いただきます!」

「えっ!? 今から食べるの!?」

「お昼には店開けるからな」

「えっ待って目の前で食べられるのなんだか照れるんだけど!」

「ええやんええやん」

 少し粉をふいた唐揚げと、焼いただけのウィンナー。甘くなりすぎた卵焼き。茹ですぎてくたくたになったブロッコリー。それから、治くんが握るのよりもずっと下手な握り方のおにぎり。

 治くんが箸を手に取るって、ニコニコしながらおかずをひとつずつ口に入れていく。それからおにぎりの包装をぺろんと巡り、はむっと噛みついた。

「ん〜! ええ塩かげん!」

「しょっぱくない!?」

「おいしい」

「本当に!?」

「俺な、最後に食うメシ何にするか言われたらほんまに迷うんやけど」

「うん?」

「名前ちゃんの作ったメシやて今なら言えるわ」

 とんだ爆弾発言を投下されて、頬がかあっと熱くなっていく。「さっ、仕込み仕込み〜」と言いながら前掛けをつける治くんは、随分と満足そうな顔をしている。私だけが照れていて、治くんの方が一歩上手な気がして、本当にずるい。ずるすぎるよ、治くん。

 そんなことを考えていると、治くんが私の顔を見つめながら新たな爆弾を投下してきた。その頬はほんのりと色づいているように見える。

「……なぁ、なんでおにぎりがええ言うたか分かる?」

「どうして?」

「……将来俺の隣で手伝ってもらわなアカンからな」

「!?」

 それって、そういう意味? そう聞こうとするけれど、言葉が声にならない。将来隣で、って。そういう意味ですよね!?

 わなわなと震えていると、治くんは馴染みの帽子をひょいっと外して、私の唇に唇を重ねた。一度触れるだけの軽いキスだけれど、そのあとそのままじっと見つめられて動けなくなってしまう。こんなに真面目な顔の治くん、見るの初めてかもしれない。

「そういう意味やから」

「〜!」

「今日、夜行くからな」

「う、うん」

「覚悟しとき」

 そう言って仕事に戻る治くんの背中は、この前の夜見たそれよりも随分と逞しい。鼻歌を歌う彼の背を見つめながら、私は火照りすぎた身体を冷ますことも出来なかった。

 そんな、春のお話。

はいどりしてます!

こんにちは!

最近更新が滞っていてすみません。リアルが多忙すぎて、なかなか筆をとる時間がなく……!ストレスも溜まるし妄想する頭が残ってない!

なので何も考えずに出来る某ゲームアプリで遊んでいます。皆さん遊んでますか!?ガチャ、なかなか烏が来てくれません!

セイジョーに恵まれてるようで、セイジョーの女みたいになってます!笑

いつか稲荷も追加されると期待しています^^

本当今年はリアルが忙しすぎて亀更新になると思いますが、そろそろ影山長編更新したいな〜と、思ってますので!

更新してないのにマロやウェブボありがとうございます!本当に救われてます〜!!!!リアルの仕事頑張ります!!!!

さよなら、私の片想い【北】

 生ぬるい風と、春の訪れを予感させる花のつぼみ。涙がこぼれてしまわないように見上げた空は、悲しいくらいに青くて綺麗だった。

「ごめんな」

 勇気を出して口にした言葉は、そのひと言に飲み込まれていった。なんと返せばいいのか分からなくって、無言でお辞儀をする。口角を上げるだけで精一杯だった。卒業、おめでとうございます。震えた声で、最後にそれだけ伝えて後ろを向いた。

 たかが二年間、されど二年間。私の恋はその日、終わりを告げた。

 北さんと出逢ったのは、高校に入ってすぐ、マネージャーとして入った男子バレー部でのことだった。真面目で誠実で、真っ直ぐなひと。最初に見た時から気になっていたけれど、彼を知るたびにもっと好きになっていった。

 最初はただ見つめるだけで、話しかけるのも一苦労。けれども北さんが主将になってからは自然と話す機会も増えていって、『好き』はどんどん大きく強くなっていった。

 そんな彼が卒業してしまう。会えなくなってしまう。そう思うと黙っていられなくって、私はこの気持ちを伝えることを選んだ。

 きっと、断られるんだろうなって分かっていた。玉砕覚悟だったから、どんな振られ方をしても泣かない自信はあったし諦められると思っていた。けれども想像力とは現実に追いつけないもので。振られた後は大泣きしたし、告白から二ヶ月経とうとしている今も諦められずにいる。

 あれから、北さんとは会っていない。大耳先輩や赤木先輩なんかは時々部活に顔を出してくれたけれど、北さんが来ることはなかった。もしかして私に会いづらいのかな、なんて一瞬よぎったけれど、彼にとって私はそんなに重要な人物ではないと気づいて笑いが出る。それでも毎日北さんのことを考えたし、恋心が消えることはなかった。会えないのに、また彼のことを考えてしまうんだろうな。

 ところが、そんな『日常』は終わりを告げることとなる。北さんが部活に顔を出したのは、GW合宿が始まった初日のことだった。

「北さんや!」

 誰かがそう叫んだその時、体育館の扉の向こうから見えたその顔を見て、私の心は二ヶ月前のあの日に戻されてしまった。諦めたかった恋心が、爆速で色をつけて込み上げてくる。だめ、だめ。諦めなきゃいけないのに。今、彼に会うわけにはいかない。だってそばで会話なんてしてしまった日には、もっと好きになってしまうに決まっているのだから。

 北さんの存在を察知した瞬間、反対側の扉から逃げ出していた。五月の空気はあの日よりもずっと熱を持っていて、私の気持ちを表しているかのようだ。消したい、でも消えずに加速していくこの恋心。どうすれば諦めることが出来るのだろう。

 走って、走って、たどり着いたのは体育館の裏。誰も来ないであろうその場所に立ち止まり、乱れた呼吸を整える。はっ、と顔を上げたら、そこにいるはずのない北さんが目の前に立っていた。

「なんで……」

「苗字が走ってくの見て、先回りしたんや」

「……」

「俺のこと避けとる?」

「……なんだか、気まずくって」

 本当のことだけれど、それだけじゃない。会ってしまえば余計に諦められなくなるから、会いたくなかった。会話をしたくなかった。けれども会ってしまえば、そんなのは偽りだと分かってしまう。

 会いたかった。声が聞きたかった。永遠に片想いでいいから、あなたの顔が見たかった。

「ごめんな」

 あの時言われた言葉がもう一度聞こえて、思わず下を向く。今、もう一度振られたのかな。お願いだから、そんな風に謝らないでほしい。私が勝手に好きでいるだけなのだから。

「謝らないで下さい……」

「ちゃうねん」

「……?」

「もっかい、苗字と話したかった」

 とくん、と胸の奥が高鳴る。真っ直ぐに彼の顔を見たら、いつもよりも真剣なまなざしで見つめられた。心臓がばくばくして、どきどきして、頭の中が北さんで埋めつくされていく。

 あー、まだ好きなんだなぁ、大好きなんだ。私、北さんが好き。叶わないのに、諦められるはずなんてない。

「好きや」

 とても現実とは思えない言葉が降ってきたのは、その時だった。自分の耳を疑ってしまう。今、なんて言った?

「苗字のことが好きや」

「……へっ!?」

「本当は、あの時オッケーしたかったんやけど……」

「えっ!? えっ!?」

 じゃあ、なんで。そう聞こうとするけど、上手く言葉が出てこない。北さんは照れたような笑顔で私を見つめて、とんでもない言葉を口にした。

「高校生に、手ぇ出されへんやろ?」

「……っ!?」

「一年間も、待てる自信なかったんや」

「……待たなくて、いいで、す……っ!?」

私の言葉は、そこで止まってしまった。彼に抱きしめられたからだ。すぐそこにチームメイトたちがいるのに、身体を密着させて、ぎゅーっと抱きしめられている。思っていたよりも大きな身体と、彼の心臓の音。におい。顔に当たるさらさらの髪。その全てに頭がくらくらして、倒れてしまいそうだと思った。

「きたさ……っ、ん、」

 次の言葉は、押し当てられた唇に遮られてしまった。その後のことは、私たちだけしか知らない。

 これは、私の片想いが終わった日のお話。

新刊お知らせ

昨日のCC福岡に来て下さった方、ありがとうございます!

新刊『農家の北さんが攻め攻めすぎるのですが!?/おにぎり屋の宮さんが好きすぎるのですが!?』頒布開始しました!

こちらのサイトに載せているもの+書き下ろし5本+無配です。詳細はBOOTHをご覧下さいませ!

TOPにBOOTHリンクを貼っております。BOOTH通販は1週間ほどで一度閉めて、3/18のジュゲ夢さんに合わせてまた頒布再開する予定です。

無配含め全てこちらのサイトで名前変換で読める特典がありますので、是非是非お願いします。

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バレンタインですね!

こんにちは!今日はバレンタインですね。

バレンタインと言えばですよ、あれです。沢山のバレンタインプラスが読める日です。はい。

0時過ぎた瞬間からバレンタインSSを探して漁りましたよね!もちろん今夜も漁ります。

自分でも古森・角名・侑と3つも書いてしまいました。どれだけ好きなんだよバレンタイン。

こういう季節のイベントはホクホクになれていいですね~!

イベントと言えば!2/23のCC福岡に参加します。新刊あります。こちらのサイトにも載せている『農家の北さん~』と『おにぎり屋の宮さん~』が1冊の本になりました!実はもう届いててウハウハしています。通販情報などはまたTwitterや支部さんでお知らせしますね。

そしてその翌日2/24の10:45頃より、Twitterで夢本&イベントについて語るスペースを開催します!お時間あれば是非遊びに来て下さいね!

それではみなさん今日は沢山バレンタイン夢を漁って楽しまれて下さいね。

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これは恋です【宮侑】

※途中ツム視点です。

 毎日同じバスで顔を合わせる男の子。いつも朝早い時間のバスに乗っていて、スポーツバッグを抱えているから強化部かなってずっと気になっていたその存在。そのうちに目で追いかけるようになり、気がつけばその人を見ると胸がドキドキと高鳴るようになっていた。

 金髪のツーブロック。派手な髪型のその人は、同じ顔をした兄弟と思われる男の子と一緒にいる。けれども私の目にとまるのは、金髪のその人だけだった。

 それは恋よ。友人が言ったひとことは、私の想いを加速させていく。そう、私は彼に恋をしてしまった。

 部活の朝練が休みの日も、その人の時間に合わせて同じバスに乗った。晴れの日も、曇りの日も、雪の日もそうした。

 曇天から小粒の雨がぱらぱらと降り注ぎ、外の景色が歪みはじめる。それは、そんな朝のことだった。彼が傘を忘れてバスを降りようとしたのだ。

「これ忘れてますよ」

 チャンスだ。そう思ったのだけれど、私はその一言しか口にすることが出来なくて。傘を手渡す時に触れた手の温もりが忘れられなくて。伝えられない想いは、降り積もるばかりだった。

 だから、決めたのだ。今年のバレンタインにはチョコレートを渡して告白するんだと。張り切った私はチョコレートを手作りし、可愛くラッピングまでしてみせた。

 そして訪れたその日。緊張して眠れなかったせいか、朝時計を見て絶望した。

 そう、私は寝坊してしまったのだ。

 今日やねん。今日が勝負の日やねん。

 デカい図体した男には似合わないピンク色の紙袋を下げて、いつものバスに乗り込む。一緒に登校している兄弟は、今日はいない。珍しいことに、俺に気を遣って後から家を出ると言ってくれたのだ。俺とあの子がふたりになる空間を作るために。

 あれはいつの日だっただろうか。その日まで俺は、自分の周りに立っている人物に目も向けていなかった。いつもと同じ時間のバスはたまたま空いていて、俺が窓際、サムが通路側に座った。どんよりした曇り空だった外は、バスが走っているうちにますます暗くなり、気がついたら窓には雨粒が叩きつけられていた。そう、その日は雨だった。そのうちにうとうとしてきて、ほんの少しの眠りについた俺は、十数分後に兄弟に叩き起こされることとなる。

「ツム、着いたで!」

「痛っ! 叩くなやサム!」

「この短時間でよう寝るな」

 そんなやり取りをしていたせいで、持っていた傘の存在をすっかり忘れていた。あの子が「これ忘れてますよ」と手渡してくれるまでは。

 そしてその瞬間、俺は恋に落ちた。

 いつもと同じ時間のバスに乗っている、同じ高校の制服を着た女子生徒。朝早いから強化部だろうと推測して探し回り、彼女の部活と名前を特定した。自分でもチャラい方だとは自覚していたが、この恋に関してはそうじゃなかった。話しかけられることすら出来ず、ただ見つめるだけの日が数ヶ月。そんな俺を見た兄弟が、「キショいねん! さっさと声かけぇや!」と言いながら渡してきたのはチョコレートのレシピを印刷したものだった。

「なんやねん、コレ」

「ツム、逆チョコ知らんのか」

「なんやそれ?」

「男から女にバレンタインのチョコ渡すんや」

 俺が? あの子に? 無理や、無理すぎる!

「せやかて俺チョコとか作ったことあらへんし」

「チョコ渡す勇気ないんか?」

 ニヤリと笑う兄弟の顔を見て、「ハァ!? んなことあらへんわ! 作ったる! 来週には彼女持ちやで!?」と叫んでしまったが最後。まぁ、そのチョコレート作りは料理が得意な兄弟に手取り足取り教わったのだけれど。ついでに台所を散らかして、オカンの雷が落ちたのだけれど。

 そうして今日、ついにその日が来た。彼女にチョコレートを手渡す日が。速まる胸を抑えて、バスに乗り込む。

 けれどもそこに、彼女の姿はなかった。

 猛ダッシュで着替えて髪を整え、バス停まで走る。どうしても寝ぐせが直らなかったけれど、会えないよりはマシだと思った。丁寧にラッピングしたチョコの入った袋を抱え、走る、走る。周りの景色が流れていく中で、いつものバスを追いかけた。

 けれども現実とは残酷なもので、バスは前へと走りはじめてしまう。バス停に着いた時にはもうその姿は見えなくて、どうすることも出来なかった。結局乗り込んだのは一本遅いバスで、私は肩を落としたまま、クマの浮き出た目元をこすった。窓に映る自分の姿がひどい。寝ぐせだって直っていないし、走ったせいで制服は乱れている。よくもまあ、こんな格好でチョコを渡そうとしたもんだ。乗り遅れて良かったのかもしれない。

 彼の片割れが乗り込んできたのは、その時だった。

「えっ!? なんでおんねん!?」

 喋ったこともないのに、目が合った瞬間になぜかそんなことを話しかけられる。銀髪の兄弟さんは、驚いた顔をして溜息をついた。空はあの日と同じ曇天。雨は降っていないけれど、私の目から降り注ぎそうになる何か。じわりと視界が歪んだその時、銀髪の彼にまた話しかけられた。

「……その袋」

「え……?」

「俺の勘違いやなかったらやけど、ツム……、俺の片割れに渡そう思うた?」

 私の気持ちにはちっとも気がついていなさそうな金髪の彼とは違って、こちらの彼は私の気持ちを知っているようだった。まぁ、見てたもんな。毎日毎日、穴があきそうなくらいに。

「……これ、渡してくれますか? 今日はもう会えそうにないから……」

「そんなことあらへんで?」

「でも寝ぐせも直ってないし、こんな格好じゃ」

「そんなの気にせぇへんと思うけど」

 そう言ってスマホを打ち始める銀髪の片割れさん。まさか、と思いきやそのまさかで、彼は「降りたら待っとけ言うたから」なんて言っている。急に加速しはじめる胸の音がうるさい。私、まだ諦めなくていいのかな。チョコレート渡してもいいのかな。緊張しすぎて、どうすればいいのか分からない。分からないけれど、渡したいと思った。

 景色が変わる。ぽつぽつと降りはじめた雨が、窓の向こうに見える校舎の姿を揺らす。あの日と同じ雨。このバスで、私はあなたに恋をした。校舎がどんどん近づいてきて、バス停に立つ恋しい人の姿も近づいてくる。あー、好きだな。諦められそうもないや。

 プシューとドアの開く音がして、私はバスのステップから飛び降りた。飛び込んできたのはあの人の顔。銀髪の彼に「頑張りぃや」と背中を押され、片割れさんは去っていく。みんなが次々と校舎に向かうその中で、私と彼だけがその場所に取り残される。

「あの……、」

 チョコレートを渡そうとしたその瞬間だった。

「これ、貰うて下さい!」

 金髪の彼の声が大きく響いて、目の前にピンク色をした袋が差し出された。私が用意したものと似たような、可愛らしいその袋。中に入っているのはきっと、同じものだろう。

「これって……?」

「チョコレート、サムに教わりながら作ったけどあんまし形ようないし、微妙かもしれんけど」

「私に……?」

「好きです! 付き合うて下さい!」

 雨が少しずつ強くなって、生徒たちが走りはじめる。そんな中でも彼の声に反応して、たくさんの人が私たちを見ていた。

「宮兄弟や」「告白しよる」「ミャーツムやん」

 そんな声が聞こえて、私は初めて彼がミャーツムくんだということを知った。噂で聞いたことのある名前。ミャーツムくんは私の目を見ながら、顔を赤らめている。

「……その台詞、私も言おうと思ってたの」

「へ!?」

「私のチョコも貰ってくれますか?」

「ほんまに!? 嘘やん!」

「嘘じゃないよ」

「嘘やないなら夢か……?」

「私も好きです」

 小さな声でそう言ったら、また大きな声で「大好きやー!」と叫ばれた。道行く人たちが、私たちの方を振り返る。あちらこちらから拍手が起きて、歓声があがった。そうしてミャーツムくんに彼女が出来たという噂は、その日のうちに校内を駆け巡った。

「ミャーツムに彼女出来たって!」

 そう報告してきた友人に、「あー……、それ、私」と言ったら、噂はますます広がっていったのだけれど。まぁ、公認ということで、めでたしめでたし、かな。

 そんなこんなでチョコレートを渡し合った私たち。今日は忘れられない記念日になったのだった。

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影山と非常階段でイチャイチャする

 ぽつり、と鼻の頭に何かが降ってきた。白く光っているそれは冷たく、皮膚に触れるとじわりと溶けていった。

「雪降りはじめたね」

「そっすね」

放課後の、部活が始まる前のちょっとした時間。この日ゴミ捨て当番の影山くんのあとについて、私も渡り廊下を進んでいく。私は当番じゃないけれど、この貴重な時間を無駄にしたくなかった。そう、私たちは恋人同士なのだから。

 ゴミ置き場にたどり着くと、影山くんはゴミの入った袋を指定の場所に置いた。それからポケットに入っていたアルコールジェルで手を消毒して、「ん」と手を差し出してくる。私が手を握ると、「苗字さん、手冷てぇ」と言いながらぎゅっと握り返された。

「影山くんだって」

「苗字さん氷みたいだな」

「そんなに? ……あ」

 ふたりで話しながら教室へと向かっていると、校舎の裏でイチャイチャしているカップルを見かけた。男子生徒が女子生徒を抱きしめて、今にもキスしそうな雰囲気だ。なんだか見てはいけないものを見てしまった気がして、自然とうつむいてしまう。

「……苗字さん、こっち」

 はたして影山くんは今の光景を見たのか見ていないのか。たぶん、前者なのだろう。腕をぐいっと引っ張られて、彼の後を追う。たどり着いたのは誰もいない非常階段で、コンクリートの上には雪が少しずつ積もりはじめていた。

「ん」

 そう言って腕をひろげて、抱きつかれる用意をしている影山くん。驚いて動けずにいると、影山くんの方からぎゅっと抱きしめてきた。見上げると、いつもは高い位置にある彼の顔が少し降りていて、鼻と鼻がぶつかった。触れ合った鼻先が冷たいな、なんて思っていたら、今度は唇に触れる熱。じんわりとあたたかさが広がって、雪のように溶け合ってしまいそうだ。

 キス。意外と好きなんだよね、このひと。

「〜っ、ひゃあっ!?」

 次の瞬間、冷たさを感じたのは私の背中だった。制服の隙間から入ってきた彼の手が、すりふりと皮膚を撫でている。少しずつ上昇してきた手が身につけているものに触れた瞬間、「だめっ!」と彼の手を引きずり出していた。

「……なんで」

「ここ、学校」

「だめっすか」

「だめです」

「苗字さん」

「なに」

「触りてぇ」

 お願いします、そんな顔で見つめられたから、「一分間だけだよ」なんて甘い返事をしてしまった。ああもう。断れないんだなぁ。

「あざす」

「影山くんってむっつりだよね」

「……」

「否定はしないんだ」

「そんなもんだろ、男なんて」

「はい、一分経った!」

「早ぇ……」

 服を正して、何事もなかったような顔をして非常階段を降りていく。先程の場所にいたカップルはもういなくなっていて、私たちの頭には真っ白な雪が積もっていた。

「苗字さん、木曜日」

「?」

「部活休みなんで」

「うん?」

「苗字さんのこと、もっと触っていいっすか」

「〜っ!」

 ねぇ、影山くん。あなたって本当にずるいよね。ずるすぎる。この日から降り続いた雪が積もる頃、私は影山くんの手によって色々と暴かれてしまうのだった。

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ブログ始めました!

Twitter凍結事件を機に、こちらでブログを更新していくことにしました。ここにいるよ! の証のようなものです。

反応気にせずなんでも書き留められる場所がほしかったのもある! 個人サイトのいいところですね。

折角なので最初は自己紹介をしていこうかなと思います!

・九州人。狢坂出身。方言バッチリです。

・三児の母です。古のサイトにお世話になった年齢。

・在宅フリーランス休職中。このまま辞めるか夫の仕事を手伝うかはたまた社会に戻るか迷ってます。

・夢小説にハマったのは中高生の頃、笛!の名前変換サイト読み漁ってたのがきっかけです。

・同人暦8年目。男女カプ中心に活動していましたが、ある日突然夢に再熱しました。

・一次創作もしてます。投稿サイト様にお世話になってます。

・ワーパレ作ってみたい

こんな感じでしょうか!

今後はサイト作るにあたってのあれこれ、日常、イベント行ってきたよ等綴っていきたいと思います!

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