〜side OSAMU〜
『◇◇ちゃん、誤解やねん。一度会って話そ』
既読になったりならなかったりするメッセージは、俺からの一方的なものだった。彼女からの返事は来ない。同じ内容のメッセージを送り続けて早や二週間。俺は閉店後の店内のカウンターに突っ伏して、はぁ、と深い溜息をついた。
「せやからごめんってなんべんも言っとるやん」
頭上から降ってくるのは、自分とよく似た声。ぎろりと睨みつけながら上を向けば、同じ顔をした兄弟が手を合わせて謝っていた。
「よりによって何であの時黒髪やねん……」
「あれな、メテオアタックって漫画とのコラボ試合があってな! キャラと同じ髪色にしてん」
「あの子とはどうなってん?」
「おかげさまでラブラブやで?」
ええな、侑は俺と違ってぐいぐい行くからな。そう思った。
◇◇ちゃんのことになると自分でもびっくりするくらい臆病で、情けなくて、積極的になれない俺がいた。目の前にいる兄弟とは顔は同じだけれど、そういうところは全然違う。俺が勇気振り絞って告白した子やぞ、とは言えなかった。お前昔はチャラかったやん、と笑われるのが目に見えているからだ。
「彼女から返事来ぃひんの?」
「……おん」
「あちゃー、すまんな」
「随分と他人事やな」
「仕事で会うんとちゃうん?」
「あー……、その前に北さんの結婚式で会うな」
「ほんま!? 俺も会えるやん」
「ツムも一緒に謝れや?」
「髪黒にしてこか?」
「やめれや」
ビールをひと口飲んで、またカウンターに突っ伏す。口の中に苦味が広がって、今の俺の心みたいだな、と思った。彼女のことを想いながら、ただ酒をあおることしかできなかった。