おにぎり屋の宮さん3

 後輩ちゃんと北さんが、ふたりでご飯に行ったらしい。

 ……進展早くない!?

 私と宮さんが出会ったのと、後輩ちゃんと北さんが出会ったのは同じ時期だったはずだ。なのにこちらは何も無しで、後輩ちゃんはふたりでご飯。しかも家まで送ってもらったとか。それ以上は何もないとは言っていたけれど、それも怪しい。

 何、この差!?

 ていうか、私、宮さんのこと気にしてる!? ないない! 仕事相手だし! イケメンだからって、そんな狙ってないし!

 ……た、たぶん。

 熱くなった顔を手で仰ぎながら、〇〇ちゃんとの話に頭を切り替える。

 彼女に「次はいつ北さんに会うの?」と質問してみたら、まさかのまさか、墓穴を掘ってしまった。

「次は水曜に写真を撮りに行って簡単な取材をして、その次は◇◇先輩と一緒におにぎり宮さんでの対談ですね」

 おにぎり宮さん。

 宮さん。宮さん。

 わ、この可愛らしい後輩が、宮さんとご対面しちゃうの!?

「わ~、〇〇ちゃん宮さんに会っちゃうのか~!」

 気がついたら、そう叫んでいた。そう思ってしまったのだから仕方がない。だって、宮さんと後輩ちゃん、会わせたくないと思ってしまったんだもの。きっと宮さんも私みたいなパンツスーツ女より、後輩ちゃんみたいなゆるふわスカート女子の方が好きに決まっている。

「宮さんがどうかしたんですか?」

「……めっちゃイケメンなの」

 それだけ言うと、私は机に突っ伏せてしまった。数秒そうしたあと、デスク横の棚に並んだ地域情報誌のバックナンバーを取り出す。そして、『おにぎり宮』の掲載されたページをぱらりと捲った。

 後輩ちゃんが宮さんに惚れちゃうのを阻止せねばならない! なぜだかそう思っていた。

「ね、北さんとどっちがタイプ!?」

「た、確かに宮さんもイケメンですね」

「ね、ね、どっち!?」

「……どっちかと言うと北さんかなぁ」

「ほーら!そうなんじゃん!」

 北さんの方がタイプ、と聞いてホッとしてしまう自分がいる。あ~、もう。ほら、私、宮さんのこと気になってるんじゃん。ばかだなぁ。あんなイケメン、私のことなんか相手にしないに決まってるのに。

 はぁ、でも、宮さんのことはあまり気にしないようにしなきゃ。

 そう思いつつも毎日彼のことを考えて、そうしているうちに八月に入り、『おにぎり宮』での対談の日が訪れた。