「〇〇ちゃん、脱け殻みたいになってるよ?」
そう話しかけてきた◇◇先輩に泣きついたのは、北さんと会わなくなって二週間が経ったお昼休みのことだった。あれから、彼とは連絡も取っていない。
仕事中はバタバタしていて少しは忘れられたけれど、北さんのところで撮った写真が出てきたり、北さんフォルダが目に入ってきたりで、結局完全に頭から消去できていない。それどころか、寂しさが襲ってきてしまう。
「せんぱいぃ……! わたし、どうすればいいんでしょう!?」
「北さんと会うのやめたっていうアレ?」
「あれから毎日北さんのこと考えちゃうし、なぜだか寂しいっていうか、北さんどうしてるかなとか……」
「……」
「でも、別れたわけじゃないんでしょう?」
「別れたわけじゃないけど、似たようなもんですよぉ。北さん、元気かなぁ。もう私のこと、どうでもよくなってるかもしれませんんん……」
「〇〇ちゃん、北さんのこと大好きじゃん……」
「え? なんて言いました? 聞こえなかったです」
「……〇〇ちゃんってちょっと天然なとこあるよね。……あ! ねぇ〇〇ちゃん、今度の最初の連休、暇?」
「暇人すぎて予定も何も入ってませんんん」
「ちょっと、待ってて。一件電話してくる」
◇◇先輩はそう言うと、どこかに電話をかけながら席を立った。一体どこに電話をかけているのだろう。そうして数分後、戻ってきた先輩は、私にこう言ったのだった。
「18日、朝8時、おにぎり宮さん集合ね!」
「宮さん? どうして……」
「ちょっと手伝ってほしいことがあるの! 作業できるラフな格好で来てね!」
「はぁ……」
先輩と宮さんによる策略に飲まれているとは知らないまま、私はこくりと頷いた。スケジュール帳の18日のところに『宮さん8時』と書いて、パタリと閉じる。
それにしても、8時ってずいぶん早いなぁ。何の手伝いだろう。
そう疑問に思いながらも、また仕事でバタバタする日々が続いて、いつの間にか約束の日が訪れていた。