チュンチュンと小鳥のさえずる声で目が覚めた。うーん、と眠い目をこすりながら伸びをする。目を開いた瞬間うつし出されたのは見慣れない天井で、昨日の出来事を思い出した。はっ、と隣を向けば、裸のままで眠っている宮さんの姿。えっと、昨日の夜……。
北さんのところで農作業をしたあと、宮さんがひとり暮らしをしているマンションに来た。玄関先で抱きしめられて、そのままキスをして。それから……。
脳裏に浮かぶのは生々しい夜の記憶で、思い出すだけで顔がかあっと熱くなってくる。……したんだよね、昨日。あんな顔の宮さん、初めて見たな。……ていうか私も裸のままだし。着替えなきゃ。
そろりとベッドから降り、脱ぎ捨てられた服を拾い集める。放り投げられた生々しすぎる残骸たちを目に入れないようにして、皺になった服を伸ばした。
その瞬間、後ろからぎゅっと抱きしめられて、ぼーっとした頭に血が巡りはじめる。また身体がかあっと熱くなって、どうしようもないくらいに緊張している自分がいた。
「◇◇ちゃん、おはよ」
「おはよう……、ございます」
「その敬語やめよか? 同い年やし」
「……わ、わかった」
「宮さんもやめてな?」
「……お、お、おさむくん?」
「◇◇ちゃん、もっかいしたい」
「ん」
ずるずる流されるようにキスをして、もう一度布団の中に潜り込む。二人とも稲刈りのせいで筋肉痛になってしまったみたいで、互いに笑い合った。宮さんの身体はやっぱり大きくて温かくて、触れてるとどきどきした。慣れるのかなぁ。これ。
そんなこんなで無事(?)恋人同士になれた私たち。結局その日は一日中イチャイチャして過ごしたのだった。……そして。
まあ、みんなに聞かれないわけないよね。
週明けに出勤すると、後輩ちゃんがニマニマした顔で待っていた。さあ、お話して下さいと言わんばかりに。
「先輩っ! どうなりましたか!?」
「……どっ、どうって、なっ、何がっ?」
「◇◇先輩噛み噛みですよっ! 何がって宮さんとのことですよっ」
「そっ、そういう〇〇ちゃんはどうだったのよ? 北さんと」
ごまかすように質問で返したら、後輩ちゃんは真っ赤になってうつむいてしまった。どうやら上手くいってくれたみたいでホッとする。
「えっと、次の休みにうちの両親に挨拶しに来てくれることになりました」
「おっ、すごいじゃん!」
「それからその次の休みに式場の見学を……」
「式場!?」
はーっ、やっぱりこのふたり進展するのが早すぎるのよね。でも比較しちゃいけない。このふたりが異常に早いだけだから。
「それで、先輩は? どうなったんですか?」
きらきらした瞳で見上げられたら、答えないわけにはいかない。私はふぅ、とひとつ溜息をつくと、宮さんとの関係を口にした。
「ま、まぁ、……つ、付き合うことに、なりました」
「ひゃあ!? すごい! おめでとうございます!」
「おめでとうは〇〇ちゃんの方でしょ」
「それで? ちゅーしました? えっちは?」
「〜っ!!!!」
後輩ちゃんの声が大きすぎたのか、先輩たちが「何!? 何!? 何の話!?」なんて言って寄ってきている。治くんのことを話したら面倒なことになるので、「〇〇ちゃん北さんと結婚するらしいですよ」と先に言っておいた。ごめんね、後輩ちゃん。きゃーきゃーと先輩たちに質問攻めされる後輩ちゃんを背に、さっさと逃げ出して、私はおにぎり×こだわり米の文書を作成した。