溺れるように彼に抱かれて、それから数時間。
すっかり冷めてしまった天ぷらの存在も忘れて、私は裸のまま彼のベッドで眠りこけていた。
はっと目覚めた時には夜も遅い時間で、隣を見たら同じく裸のまま眠っている北さんがいて。
記憶を手繰り寄せると、蘇ってくる生々しい出来事たち。一歩進んでしまったという事実が、私を混乱させている。
ど、ど、どうしよう。してしまった。さ、さ、三回も。
とりあえず脱ぎ捨てていたものを身につけて、これからどうしようかと考える。お酒、もう抜けたかな。
「〇〇ちゃん、起きたん?」
さっきまで私を可愛がってくれていた声でそう呼びかけられて、はっ、と顔を上げる。私、この人としたんだ。そう思うとまた身体がかあっと熱くなって、爆発してしまうかと思った。
「ご、ごめんなさい。私、眠ってたみたいで…っ…」
「ええよ。それより、お腹すいたやろ? 天ぷら揚げ直そか?」
「一緒にやります」
なに食わぬ顔で服を着て、なに食わぬ顔で天ぷらを揚げ直す北さん。そのあと食べたご飯はおいしかったけれど、頭がぐるぐるしていてよく覚えていない。
翌日休みだった私は結局泊まっていくことになり、彼の隣でひと晩過ごした。もちろん、朝になったらすぐ帰ったんだけれど。
帰り際にはまたキスをされて、「今度、〇〇ちゃんち泊まりに行かせてな?」なんて言われてしまった。
帰宅早々、私が連絡したのは◇◇先輩だった。だって、誰かに相談しないとこれからどうすればいいのか分からなかったから。
私は北さんのことが本当に好きなのか分からない。けれども、触れられてイヤじゃないし、心地いいとすら思える。だからこそ、好きなのか分からないのに近づいていいのか悩んでしまう。前に進むのが早すぎて、心が身体に追いつかないのだ。
『どうしよう、北さんとえっちしちゃいました』
『めちゃくちゃ良くって』
『三回も』
『私、どうすればいいんでしょう』
なんて連続で先輩にメッセージを送ったら、『付き合ってるならいいんじゃない?笑』と返ってきた。
そういうものなのかなぁ?
だって私、北さんのこと好きなのか分からないのに。身体の関係になって、あんな風に乱されて。どきどきしているこの気持ちが、恋なのか、そうじゃないのかすら分からない。ただ緊張しているだけなのかもしれない。
そんなことをぐるぐると考えてるうちに、北さんからメッセージが届いた。
『次の週末、〇〇ちゃんち泊まりに行ってもええ?』
『分かりました』
『神戸の方あんまし行かへんから、観光地デートしよな』
ほら、また。断れない私がいる。私ってこんなに優柔不断で流される女だったっけ? 確かに、きっぱり断るタイプじゃないけれど。
そんなこんなでまた日常に戻って、バタバタした平日を過ごしている間に、いつの間にか週末が訪れていた。