高校生ナンバーワンセッターの侑、その侑の補完が出来ちゃう治、体幹が凄い角名。スポーツが強い上にお顔が整っている三人は、凄くモテるし目立っている。もはやアイドル並みだ。異常である。
分かる。分かるよ。でもね、その影に潜む銀島結という存在の魅力に、誰も気がついていない……わけがないでしょう!
銀ちゃんはモテる。うちの高校では、三人をおさえてナンバーワンのモテ男だと思う。結婚するなら銀島くん♡ とかいうガチ勢がたくさんいることを、きっと本人は知らないのだろう。今彼は私の隣で、ズーンと肩を落としているのだから。
「なぁ、マネ。俺って目立たへんのかなぁ……」
「銀ちゃんは目立ちたいとか思うタイプじゃないでしょ?」
「せやな。でもな、レギュラーやし背番号一番若いのに、俺だけ実装されてへん……。さすがに凹むわ」
言っちゃった! 自分で言っちゃったよ!
そう、私たち稲荷崎高校のメンツが、バレーボールのゲームに実装されたのだ。けれどもそこに、銀島結の名はなかった。理石ですらいたのに。
「ま、せやけど、侑も治も角名もかっこええなぁ。めでたいなぁ!」
「理石に負けたとか思わないの?」
「理石はええプレイヤーやで!?」
「グヌヌ、鼻血出る! そういうところですよ! はぁひとし尊い!!!!」
「ん? 何か言うたか?」
「ううん気にしないで!?」
そういうところ! そういうところなんですよ! 私だって侑たちをディスる気は全く無いし、まぁあいつらもイケメンではあるよな……、強いし……、とかは思うけれども! 銀島結の魅力は彼らと違うところにあるんですよ! 侑とか、ひとりだけ実装されてなかったら絶対ハァア!? なんやこのクソ運営が! とか言ってるだろうし。(何度も言うがファンが怖いのでディスっていないことは伝えておきたい)(ファンが怖いので)(怖すぎるので)
銀ちゃんは優しいし! 熱いとこあるし! 試合してる時カッコイイし! 言う時ちゃんと言うし! 最高! 好き!
そう、マネージャーであるこの私も銀島ガチ勢だ。かなり惚れ込んでいるし、正直結婚してくれバージン貰ってくれ! くらいには思っている。けれどもそれを悟られるわけにはいかないのだ。私と銀ちゃんがくっついたらファンたちが悲しむわけだから。隠れファンが多いのが銀島結の魅力なわけだし。あ〜! でもひとりじめしたい! 私のものになって銀島結〜!
「マネは、俺のこと目立たへんって思うか?」
「そんなことない! 私にとって銀ちゃんは一等星だよ!」
「ありがとうな! マネは優しいなぁ」
トゥンク。優しいのはあなたです! はぁもうファンが悲しむとかどうでもいいわ! あなたが好きです私と結婚して下さい!
「一等星言うのは、マネの本音やんな?」
「うん? そだけど?」
「それだけで俺頑張れそやわ。ありがとうな!」
「私でいいならいつでも言うよ!? 銀ちゃん推しだし!」
「んん!? マネ、俺推しなん!?」
私が銀ちゃん推しだと告げると、彼は驚いた顔をして、ぐぐっと詰め寄ってきた。うお、近い。近くで見ると本当カッコイイし、筋肉凄いし、これでなぜ実装されないんだ運営様よ!? と言いたくなる。彼が実装されていないのは、後から登場させて目立たせるためなのではと考えてしまうくらいにカッコイイとしか言いようがない。はぁ、これは私もヲタクモード止められないわ。
「気づいてないみたいだけど銀ちゃんモテるんだよ!? 銀ちゃん推しが一番多いと思う! カッコイイもん!」
「他の子もありがたいけど、マネが俺推しかどうかが大事やねんけど」
「えっと!? ハイ私は銀島結を推していますが!?」
「それはどういう意味で?」
「ひぇ!? ど、ど、どういう意味とは!?」
「俺マネのこと好きやねんけど。同じ意味かどうか聞きたいねん」
ヒィ!? ヒイィイイ!?
俺マネのこと好きやねんけど!?
銀島結は告白する時絶対熱烈ストレートだとは思っていましたけど!? 解釈一致すぎるんですけど!? えええ!? 私今、告白されているのですか!?
「で、どーなん?」
「お、お、同じいみです……」
「ほな、俺と付き合うてくれるん?」
「ハイ結婚して下さい……」
「ぶっ飛び過ぎやけど、俺もそのつもりやからな!?」
運営様、正解すぎだわ。彼がこれ以上人気になってしまったら困る。こんなに素敵でストレートに愛を伝えてくれる人が、もっとモテたら大変すぎる。ありがとうございます、運営様!
天を仰ぐ私を見て、銀ちゃんは「? マネは面白いなぁ」なんてこぼすのだった。これは、私が将来の相手をゲットした日のお話。
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2023.9