仕事に行きたくなくて駄々をこねる(研磨)

「んぁー!もう!仕事行きたくないいいぃ」
 カチャカチャとパソコンの前で作業する研磨を見ながら、私はソファの上にごろんと寝転がった。GWも最終日。長かった連休も終わり、明日から仕事が再開する。行きたくない。行きたくなさすぎる。あまりに憂鬱すぎて、つい言ってはいけないひと言をつぶやいてしまった。
「研磨はいいよね、出勤時間とかないし」
「は?」
「だってそうじゃん。好きなこと仕事にしててさ、上司もいないし。ゲームしてればいいんじゃん」
「何それ、本気で言ってんの?」
「だってそうじゃん! 本当のことでしょ!」
 そんなこと、本当は一ミリも思っていない。在宅だとはいえGWも休み無しで仕事に励んでいて、オンラインで外部の人と打ち合わせをしていたことも知っている。夜中まで編集作業して、GWに合わせて生配信して、そんな中で一日だけでもって私のために時間作ってお出かけしてくれたこともありがとうって思っている。けれども今日の私はあまのじゃくで、思っていることと反対のことを言ってしまう。自分の情けなさに、ぽろりと涙がこぼれた。
「うぅ、ぅ〜っ」
 そんな私のそばに寄って、何も言わずに頭を撫でてくれる研磨。ぽろぽろとこぼれる涙が、研磨の服に染みていく。
「ナマエはそんなこと思ってないよね」
「ぅえぇん」
「俺まともな社会経験ないし、ナマエのつらさは分かってあげられないけど。凄いなって思うし。外で人と接するのってストレス溜まるだろうなって」
「……なぐさめてくれてる?」
 そう言って顔を上げると、頬を赤らめた彼が視線をそらしながら口を開いた。
「俺今すごい仕事たてこんでるんだけど」
「うん、知ってる」
「……ちょっと休憩」
「んん!?」
「甘やかしてあげるから、仕事頑張ってって言ってんの」
 ぎゅっと抱きしめられて、そのままソファの上になだれこむ。あれ、私たち喧嘩してたんじゃなかったの!? と戸惑う暇も無しに、唇に熱が降ってきた。手と手がきゅっと絡み合う。
 ああ、もう。こんなの、頑張れるに決まってるじゃん。