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部活対抗リレーで目立ちすぎてる影山飛雄にまんまと惚れる

 カッコイイな、こいつ。そんでもって自分がイケメンだと自覚しているタイプだな。

 第一印象はそんな感じ。バレーがずば抜けて上手いし、クールだし、背高いし、顔整ってるし。

 ジュニアバレーボールのチームで飛雄に出会った時から、私の世界は変わった。好きなのか、と問われたら分からない。これは憧れに近いものなのかもしれない。彼のストイックさとか、技術力なんかに惹かれているのは事実なのだから。

 そんな日々が続き、いつの間にやら同じ高校に進学したあとも、彼への憧れ? いや、尊敬のような念は変わらずに続いていた。飛雄はモテる。まあモテるからといって恋人は作らないだろうし、バレーボールが一番なのだろうと私は安心しきっていた。いや、安心って、好きとかそんなんじゃないんだけど!

 しかし。そんな日々に終止符を打つ時が来た。春の高校バレーだ。まさかの飛雄が所属している男子バレー部が春高に出場して、彼がスタメンとしてテレビ画面にデカデカと映ってしまったのだ。すると、何が起こるだろう。そう、飛雄のモテ度が100%から200%に上がってしまった。他校生にまでファンが出来るほどに。

「小学校から一緒だっけ? そっちこそ寂しいんじゃなーい?」

 体育祭の終盤、今から始まろうとしている部活対抗リレーを待ちながら、親友はそう言った。小学校から尊敬している同級生が爆モテしている。確かに寂しい気持ちはあるが、好きだとかはよく分からない。飛雄の相棒、日向を心待ちにしている親友に向けて、「ほら、日向走るよ!」と話題を変えた。パァン! と音が鳴り響き、選手たちが全力で走りはじめる。

 体育祭のラストを飾る部活対抗リレー。男子バレー部のアンカーを飛雄がつとめるようだった。バトンが渡され、またバトンが渡されて、アンカーまであとひとり。男子バレー部の順位は二位だ。隣に陸上部やサッカー部、野球部なんかが並ぶ中、ウォーミングアップしている彼の姿が目に入る。

「影山せんぱぁい♡ 頑張って〜♡」

 なーんて甘い声援がどこからか飛んできて、影山コールが巻き起こった。男子まで飛雄を応援しているし、春高稲荷崎戦の応援かよ、なんて思ってしまう。くそぉ、陸部に勝てるわけないのに。ばっかじゃないの。ちょっと春高で目立ったくらいで爆モテしてさ。飛雄も調子乗ってんじゃないの!? ばーか、負けちまえ。

 なんて、思っていたひねくれものの私の目に、バトンを渡された飛雄の姿が飛び込んできた。猛スピードで走る彼の姿は、スポーツ少年団のリレーで見た姿を思い出させる。あー、そっか。そうだったんだ。

 私たぶん、小学生の頃から飛雄のことが好き。

 日向を見てぼけーっとしている親友の横で、同じく飛雄を見てぼけーっとなる私。無意識に、「あー、好き……」だなんてつぶやいてしまう。くそぉ、まんまと惚れてしまった。というか、好きだと気づいてしまった。認めてしまった。くっそぉ! 好きなんじゃん!

 陸部を抑えて一位を取ったのは、まさかの男子バレー部。トップバッターの日向もアンカーの飛雄も、みんなにもみくちゃにされている。そんな彼らを見つめていると、なぜだか飛雄と目が合った。気がした。気のせいだと思ったのは一瞬で、数秒ののちに気のせいじゃないと確信に変わる。なぜならば、飛雄がずんずんとこちらに向かって歩いてきたからだ。

「おい」

「はっ!? 私!?」

「なんで見てんだよ」

「はあ!? 見ちゃいけないの!?」

「そんな可愛い顔で見てたら目立つだろ!」

「はぁあ!? 何言ってんの!? バッカじゃないの!?」

 キュウウウウン。

 えっ、何これ何これ!? なんで私だけにそんなこと言うの!? ていうかみんなに見られてるし! 放送部の人、『おやおや? 影山くんも公開告白でしょうか!?』なんて言い始めたし!

「そのつもりだけど何か?」

と真面目に返す飛雄が眩しい。っていうか今、何て言った!?

 キャー! とか、ギャー! とか様々な悲鳴が飛び交う。黙ったままの私に向かって、飛雄は「っつーことだ」と言って去っていった。ぽかんと口を開くことしか出来ない。

 今の何なのぉおおおぉ!?

 初恋が叶ったのは、自覚から数分後の話だった。

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部活対抗リレーで目立ちすぎてる日向翔陽にまんまと惚れる

 太陽みたいな人だと思った。

 第一印象はそんな感じ。誰にでも気さくに話しかけてくれるし、明るいし、フレンドリーだし、友達多いし。入学後、私が日向を気にするようになるまで、そんなに時間はかからなかった。好きなのか、と問われたら分からない。ただの憧れなのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ日向の存在は、私の心を温かくさせた。

 しかし。そんな日々に終止符を打つ時が来た。春の高校バレーだ。まさかの日向が所属している男子バレー部が春高に出場して、彼がスタメンとしてテレビ画面にデカデカと映ってしまったのだ。すると、何が起こるだろう。そう、日向をはじめとする男子バレー部員がモテはじめてしまったのだ。私だけの日向が、みんなの日向になってしまった。

「だから諦めたの? 下らん理由」

 体育祭の終盤、親友はハチマキを巻き直しながらそう言った。蔑んだような目で見てくる彼女に、「元々そんなんじゃないって」と返す。

「いいじゃん。日向とナマエ、お似合いだと思うけど」

「だから、好きとかそんなんじゃないんだって! お似合いとか言われても向こうが迷惑だから」

「まあ、日向モテるよね」

「応援してたアイドルが人気出たらなんか寂しくなるじゃん? それと同じ」

「飛雄よりよっぽどいいと思うけど」

「そういうアンタは実は影山くんなんでしょ〜? 小学校から一緒だっけ? 寂しいんじゃなーい?」

 なんて親友をからかって、話題を影山くんに移す。けれども親友は頬を赤らめて、「ほら、日向走るよ!」なんて話題を戻されてしまった。

 体育祭のラストを飾る部活対抗リレー。男子バレー部のトップバッターは瞬発力のある日向がつとめるようだった。隣に陸上部やサッカー部、野球部なんかが並ぶ中、ウォーミングアップしている彼の姿が目に入る。

「日向せんぱぁい♡ 頑張って〜♡」

 なーんて甘い声援がどこからか飛んできて、日向コールが巻き起こった。男子まで日向を応援しているし、春高稲荷崎戦の応援かよ、なんて思ってしまう。くそぉ、陸部に勝てるわけないのに。ばっかじゃないの。ちょっと春高で目立ったくらいでみんなしてちやほやしてさ。ばーか、負けちまえ。

 なんて、思っていたひねくれものの私の耳に、ピストル音が届く。パァン、と音が鳴った瞬間、舞い上がる土埃と共に生徒たちが一斉に駆け出した。

 え、日向はっや!

 バレーをしている時のような、真剣な表情で走る日向。一方、観客の中に紛れているただのモブの私。そんな差のある状況なのに、なぜか一瞬目が合ったような気がした。

 やべぇ、カッコイイ。

 ぼけーっとした顔をしていたのだろうか、隣にいる親友に「惚れた?」なんて聞かれてしまう始末。そんなんじゃないって、なんて言葉は出てこずに、「うん」とだけ答えていた。

 何これ好き! 尊い!

「ほら好きなんじゃん〜」なんてけらけら笑っていた親友は、アンカーの影山くんを見た途端黙ってしまったのだけど。

 陸部を抑えて一位を取ったのは、まさかの男子バレー部。トップバッターの日向もアンカーの影山くんも、みんなにもみくちゃにされている。そんな彼らを見つめていると、また日向と目が合った。気がした。気のせいだと思ったのは一瞬で、数秒ののちに気のせいじゃないと確信に変わる。なぜならば、日向がずんずんとこちらに向かって歩いてきたからだ。

「名前! 見ててくれた!?」

「え!? 私!? 私!?」

「走ってる時見えた!」

「う、うん!?」

「名前が見てたから頑張れた! ありがとな!」

 キュウウウウン。

 えっ、何これ何これ!? なんで私だけにそんなこと言うの!? ていうかみんなに見られてるし! 放送部の人、『おやおや? 日向くん公開告白でしょうか!?』なんて言い始めたし!

「あ! そういうのはふたりきりの時にするんで!」と真面目に返す日向が眩しい。キャー! とか、ギャー! とか様々な悲鳴が飛び交う。黙ったままの私に向かって、日向は「ってことで、あとでな!」と言って去っていった。ぽかんと口を開くことしか出来ない。

 あとで、何を言われるのぉおおおぉ!?

 自覚したばかりの恋が叶うのは、数十分後の話。

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